ようこそ広島大学腎泌尿器科学へ

松原昭郎教授の写真です

 私たちのホームページにアクセスくださりありがとうございます。腎泌尿器科学を担当している松原です。

 当教室は、広島大学医学部(設立時は広島県立医学専門学校)の開設まもない昭和23年に柳原 英名誉教授によって開講された皮膚泌尿器科学教室を前身とし、昭和40年に皮膚泌尿器科学教室より分離、新設されました。その後の歴代教授は、加藤篤二名誉教授(昭和31年~昭和42年)、仁平寛巳名誉教授(昭和42年~昭和62年)、碓井 亞名誉教授(昭和62年~平成20年)で、私は第5代目となります。

 現在の主な教育・研究内容は、1.泌尿器がんの発生、増殖機序の解明と治療応用、2.泌尿器がんに対する新しい治療法の開発とその評価、3.再生医療などです(詳細は研究活動のページをご覧下さい)。

 これらの中で、前立腺がんは歴代教授の専門領域の一つであり、現在も私たちの教室におけるもっとも主要なテーマとして位置づけています。代表的基礎研究は、前立腺がんのアンドロゲン依存性消失のメカニズム解明と治療への応用です。前立腺がんはアンドロゲン依存性のため抗アンドロゲン療法が有効ですが、次第にアンドロゲン非依存性へと変化し、最終的にはいかなる治療にも反応しないきわめて悪性のがんへと進行します。なぜ効かなくなるのか?治療につながる研究が目標です。その他、非翻訳RNAをコードする転写超保存領域の前立腺癌における発現・機能解析と治療応用、前立腺がんの遺伝子異常、前立腺がんに特異的な蛋白の網羅的解析をもとに新たな診断・治療への道筋を探る研究(いずれも分子病理学 安井教授との共同研究)、小胞体ストレス(分子細胞情報学 今泉教授との共同研究)、インシュリン・IGF代謝(医化学 浅野教授との共同研究)の影響、前立腺がん術後の陰茎海綿体神経の再生など、多方面からの基礎研究を行っています。これらはいずれも独創性、革新性に優れ、ハイレベルな国際学会である欧州泌尿器科学会(EAU)および米国泌尿器科学会(AUA)の年次総会に多数(2014年=7、2015年=9、2016年=10)の演題が採択され、このうち6演題がベストポスター賞、1演題が最優秀賞を獲得しました。

 教育は、総論として泌尿器疾患の症状、泌尿器科で行う検査、処置、手術を、各論として泌尿生殖器癌、尿路感染症、尿路結石、尿路性器外傷、男性不妊症、性分化異常、尿路性器の発生と異常、排尿障害をテーマとした内容で行っています。臨床実習では、単なる診療の観察ではなく参加型を重視しています。5年生時のポリクリでは、膀胱ファイバースコピーなど泌尿器科に特徴的な外来検査の体験に留まりますが、6年生のアドバンストコースでは、初期研修医レベルの実習機会を提供し、マンツーマンで指導しています。具体的には、担当する患者さんの治療方針を主治医と一緒に考え、カンファレンスに参加して発表、プレゼンテーション能力を身につけさせ、さらにインフォームドコンセントはもちろん、腹腔鏡手術のスコピストや開腹術における皮膚縫合・閉鎖などチームの一員として活動できる機会を与えています。また、4年生の医学研究実習では泌尿器癌の基礎研究に取り組ませ、研究マインドを身につける教育を行っています。

 臨床面では泌尿器がんに対する新しい治療法の開発と導入に力を入れています。その1つは腹腔鏡手術です。広島大学病院泌尿器科では1991年から 泌尿器領域の腹腔鏡手術に取り組んでおり、2015年までにその件数は1259件となりました。これまで培われた高い技術レベルと実績をもとに難易度の高い腎細胞がんに対する腎部分切除術や前立腺がんの腹腔鏡手術を独自に完成させるとともに、より高度な世界最先端技術である単孔式内視鏡手術(わずか2 cmの小さな傷口1つから腫瘍を摘出する手術)や手術ロボット「ダビンチ」を用いた手術へと発展させています。

 当教室は、2010年に中国四国地方で初めてロボット支援下前立腺全摘術を行って以来、全国で有数のロボット支援下手術提供施設となっています。これまでに行った術式別症例数は前立腺全摘術395例、腎部分切除術28例、膀胱全摘術7例(2016年3月現在)で、2014年および2015年の症例数全国ランキングはいずれも第4位(松原医師)でした。このような優れた実績と高い技術によって当教室は2013年にIntuitive surgical社から全国で5番目のロボット手術症例見学サイトに認定され、これまでに多数の医師やメディカルスタッフの手術見学を受け入れるとともに、他施設への技術指導も行っています。

 開腹の手術治療では、前立腺がんに対する手術において我が国の標準術式である下腹部正中切開で前立腺に到達する恥骨後式アプローチに加えて会陰から到達する術式を研究し、臨床に取り入れています。このアプローチは会陰から前立腺まで距離が短く浅いため小切開ですみ、術後尿失禁や疼痛、出血量が少ない特徴があります。本手術を行える施設は世界でも数少なく、私たちは、本術式を安全かつ確実に行うため、cadaverを用いて会陰部の解剖を理解し、米国トップランナーの手術見学や意見交換、fresh cadaverで術式の研究を重ね、我が国ではじめて解剖学的理解に基づいたテクニックを確立しました。

 私たちの目指すものは、医学科生ならびに大学院生の講義・実習を介して医療人養成教育を行い、倫理観・人間性を併せ持つ優秀な人材の育成に努めること、泌尿器科領域の研究を常に推進して臨床に展開し、全人的医療の実践と徹底したサポートおよび新しい医療の探求を行って社会に広く貢献することです。皆様のご指導とご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。