女性泌尿器

じょせいひにょうき

女性泌尿器科疾患とは?

女性特有あるいは女性に多い泌尿器科疾患のことです。年のせいや泌尿器科を受診することにためらわれる患者様が多いですが、治療を行うことで改善する場合があります。主に以下のような疾患があります。

  • 腹圧性尿失禁
  • 過活動膀胱
  • 骨盤臓器脱
  • 間質性膀胱炎

1)腹圧性尿失禁

お腹に力が加わった際に尿が漏れてしまう状態です。咳やくしゃみ、重い荷物を持った時などに起こります。通常は大量に漏れることはなく、少し尿が漏れることが特徴です。骨盤底筋という骨盤を支える筋肉が加齢や出産などで弱ってくることで起こるとされています。

検査

  • 排尿日誌
    1日の排尿した時刻と排尿量を記録していただきます。
  • パッドテスト
    水分を摂取していただき、その後運動等を行うことで、パッド内に漏れた尿の量を測定します。
  • チェーン膀胱尿道造影検査
    膀胱に金属のチェーンついたカテーテルを挿入してレントゲン撮影を行います。膀胱と尿道の位置関係等を確認します。

治療

軽症の場合は骨盤底筋訓練や生活習慣の改善といった保存的治療を行います。保存的治療で改善しない場合は、薬物療法を組み合わせたり、手術を行ったりすることもあります。手術に関しては広島大学病院では行っておりませんが、関連病院への紹介を行わせていただきます。

2)過活動膀胱

過活動膀胱の欄をご覧ください。

3)骨盤臓器脱

骨盤臓器脱とは、膣前壁、膣後壁、子宮頸部/子宮または膣子宮全摘後の膣断端の下垂と定義されています。異物感(お下に何かが降りてくるような感じ)、排尿困難、排便困難、または尿意切迫感や頻尿といった様々な症状が出現します。

検査

  • 内診
    内診台でわざと咳をしたり力んだりしてもらうことで骨盤臓器脱の種類や脱出の程度を確認します。
  • チェーン膀胱尿道造影検査
    腹圧性尿失禁の欄をご覧ください。

治療

  • 骨盤底筋訓練
  • ペッサリーリング
    膣内にペッサリーリングを挿入し、脱出を防ぎます。ペッサリーリングが脱落したり、出血したりすることがあるため、婦人科に紹介させていただきます。
  • 手術
    メッシュを用いた手術や腹腔鏡の手術を行うことがあります。関連病院への紹介あるいは婦人科に紹介させていただきます。

4)間質性膀胱炎

頑固な頻尿や尿を我慢すると痛みが出る、血尿が出るといった慢性的な膀胱炎で、特に女性に多いとされます。一般的な膀胱炎と異なり、尿の濁り等はないとされています。ハンナ型というタイプは国の難病指定にもなっております(指定難病226)。原因ははっきりとしておりませんが、膀胱の粘膜を覆っている細胞や免疫系の異常ではないかとされています。

症状

典型的なものとして尿が溜まることで下腹部の痛みが出ます。予防的にトイレにいかれる患者様もおり、1日で数十回もトイレに行くことがあります。そのため、非常に日常生活に支障をきたし、精神的に負担になることがあります。

検査

  • 問診
  • 膀胱鏡検査
    膀胱内をカメラで観察し、典型的な所見の有無を確認します

治療

  • 膀胱水圧拡張術(+ハンナ病変焼灼術)
    間質性膀胱炎の診断の確定と治療が可能な方法です。時間経過とともに効果が減弱することもあり、複数回行うこともあります。厚生労働省による認可を受けた施設のみで受けることができ、広島大学病院では治療可能です。
  • 薬物療法
    長らく抗アレルギー薬や抗うつ薬を使用してきましたが、2021年4月に ジメチルスルホキシド膀胱内注入療法が保険適応となりました。

主な疾患

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