尿路結石症

にょうりょけっせきしょう

尿路結石症とは?

尿路結石は尿路のいずれかの部位に結石が生じる疾患です。尿路とは、腎臓、腎盂、尿管、膀胱、尿道を指します。腎臓~尿管の結石を上部尿路結石、膀胱~尿道の結石を下部尿路結石といい、上部尿路結石が全体の約96%を占めると言われています。男女比は2.4:1と男性に多いですが、近年女性の患者さんも増加傾向にあります。生涯罹患率は男性で15.1%(約7人に1人)、女性で6.8%(約15人に1人)と言われています。

尿路結石の症状

尿路結石の中でも、特に尿管結石は疝痛発作という急な激しい腰背部痛、腹痛で発症することが多いです。これは結石によって尿の流れがせき止められ、腎盂内部の圧力が上昇することによって引き起こされます。発作時に吐き気を伴うことも少なくありません。また、結石によって尿路の粘膜が傷つけられ血尿を伴うこともあります。そのほか、膀胱付近の尿管結石では頻尿や残尿感、尿道の結石では尿が途切れる、あるいは尿が全く出なくなることもあります。

診断と処置

尿路結石の診断には主に①尿検査、②腹部エコー検査、③レントゲン検査を用います。

尿検査では尿に血が混じっていないかを確認します。腹部エコー検査では腎盂の腫れをチェックします。上述のように結石が尿管に詰まると、尿の流れが悪くなり腎盂が腫れてきます。また、結石はカルシウムでできていることが多く、その場合はレントゲンで白く写ります。結石が小さい場合や骨と重なる場合などにはレントゲンでは見えない場合もあります。CT検査では非常に小さな結石も確認することができ、結石の大きさや場所をより細かく評価することができます。

検査によって尿管結石と診断したら、まず痛みに対する処置を行います。一般的には尿管の収縮を抑える注射と鎮痛剤(内服薬、座薬、注射等)を使用することが多いです。

レントゲン検査
CT検査

治療

尿管結石の治療ですが、小さな尿管結石(5~10mm未満)であれば尿管を広げて排石を促す薬と水分摂取によって自然に結石が排出されることを期待します。10mm以上の結石、または発症から1か月以上かかっても自然に結石が排出されない場合は、何かしらの外科的治療を検討します。外科的治療は、大きく分けて①体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、②経尿道的尿管結石破砕術(TUL)があります。また腎盂に出来た大きな結石であれば経皮的結石破砕術(PNL)が適応となる場合もあります。

結石が認められている部位や大きさによりこれらの術式の適応を判断していきます。

治療は主に当教室の関連施設にて施行しています。詳細についてはこちら

再発予防

尿路結石は一度発症すると、10年以内に半数以上の方で再発すると言われています。

尿路結石再発予防の基本は①十分な水分摂取、②肥満の防止、③偏りのない食生活です。

結石形成のリスクは、1日尿量が1000ml以下で増加し2000ml以上で低下します。そのため、食事以外に1日2000ml以上の飲水が推奨されています。また、結石患者の肥満率は高いことが知られており肥満の防止も非常に重要です。食生活では、シュウ酸の多い物(ほうれん草、たけのこ、紅茶、緑茶、コーヒーなど)の過量摂取を避けることも重要です。ただし、これらはカルシウムと一緒に摂取することでシュウ酸の吸収を抑えることができ、調理法の工夫も重要と言えます。

主な疾患

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