2023.08.28
世界で3施設!光力学的診断(PDD)を用いた尿管評価を行っています
光線力学療法とは
光線力学診断用剤5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid: 5-ALA)を用いた光線力学診断(photodynamic diagnosis: PDD)が、2017年に膀胱癌に対して保険適用になりました。
5-ALAは、正常な細胞に比べてがん細胞に多く集まり、青色の可視光を照射されると赤色の蛍光物質に変わる性質があります。この性質を用いて膀胱癌の診断・治療に役立っています。
光線力学療法を用いて尿管鏡検査をさらに有用に
尿管鏡検査とは、主に腎盂・尿管癌の診断・治療におこなう内視鏡検査です。泌尿器癌の中でも、腎盂尿管癌はCTなどの画像検査と尿細胞診をもとに診断を行っています。しかし、上皮内癌の場合はCTなどの画像では評価が難しく、尿管鏡検査を行っても肉眼的所見のみでは判断が難しいことが多いです。そこで当院では、膀胱がんに対して5-ALAを用いた患者様にたいして必要あれば尿管鏡検査を追加することで、より正確で詳細な診断を可能にしています。
今後の展望
2023年7月時点では光線力学療法は泌尿器科領域では膀胱癌の治療に限り保険適用となっています。私たちは、症例を蓄積しPDD併用尿管鏡検査の有用性を明確に示すことに取り組み保険適応となりガイドラインに取り入れられるような位置づけになることを目指しています。